「今まで生意気にも女王様を騙り、皆様を虐げ弄んでしまい本当に申し訳ありませんでした…!これからM女として生まれ変わる私を思う存分嬲ってください…!!」

複数のM男の前で屈辱の懺悔をする女。元々は女王様を名乗っていたこの女がM堕ちしたのは、半年間に及ぶ逆調教の賜だった。

10代の頃からSMに興味があった俺。初めて付き合った彼女とSMごっこをしたのをきっかけに、ズブズブとSMの魅力にハマっていった。
歴代の彼女、SM倶楽部、アプリで知り合ったM女…と、これまで調教してきた女はざっと20人はいるだろう。
けれど、数をこなすにつれて段々とつまらないものになっていった。
最初こそ俺の命令に従う女に優越感を感じたり、支配欲を満たされたりしたけれど、それが当たり前になってくると刺激もなくなり満たされなくなった。

もっと調教し甲斐のある女がいればいいのに。そう思っていた時にたまたま目にしたのが、女王様を調教して奴隷にする下克上モノのSM動画だった。

反抗的で生意気な女王様を調教して奴隷に。俺はコレだ!と思った。

しかし一つ問題があった。SM動画は所詮作り物。生意気な女王様に怒りを覚えたM男が押し倒して手込めにするなんてストーリーは現実ではあり得ないだろう。

どうすれば調教する側の女王様を調教される側に持ち込めるか。

そんな事を考えつつ、とりあえずはアプリでM女を探す要領で女王様を探した。

“虐めてやるから覚悟のある奴は来いよ”
“歓んで私の奴隷に志願するM男募集”

当然と言えば当然だが、やはり女王様が求めているのはM男ばかり。付け入る隙はなさそうに思えた。

けれど俺は見つけてしまったのだ。

“これまでは女王様としてM男を調教してきたのですがここ最近、調教される事に興味を抱くようになりました。気になる方は一報願います”

まさにドンピシャな内容だった。誇張でも何でもなく、この投稿だけ輝いて見えた。

俺は何の迷いもなくコンタクトを取った。しばらくすると返事が届いた。

“メッセージありがとうございます。早速ですが経験など聞かせてもらえますか?経験もないのに興味本位で声をかけてくる男性も多いので。それなりに造詣の深い男性を希望しているものですから”

クソ生意気な返事だなと思った。調教希望している立場の態度ではないとも思った。でも同時に、生意気だからこそ調教し甲斐がありそうだと楽しくもなった。

この内容からして他の男にも声をかけられているのだろう。そして同じような返事をしているのだろう。
こんな返事をもらった男の中には“生意気でM女らしくないから相手するのはやめよう”と考える人間もいるかもしれない。きっとそういう男は調教を楽しみたいわけじゃない。都合良く言いなりになってくれる女を得たいだけのにわかだ。

この女は女王様らしいからあえて生意気に振る舞って、そういう男をふるいに掛けているのかもしれない。

そんな事を考えつつ、俺は正直に自身のSM経歴を書いて送った。

“具体的に教えてもらえてよかったです。貴方の事、候補に入れさせてもらいますね”

言われた通り経歴を書いてやったのにこれでもまだ候補なのか、と女の返事を見て呆れた。仮に候補だったとしても相手に伝える必要はないだろう。何気に上から目線なのも普通なら癪に障るところだ。
けれど、度重なる生意気な返事にやはり意図的なものを感じた俺は一つ賭けに出た。

“候補に入れるなんて随分生意気な物言いだな。躾け直してやるからさっさと俺に決めろ”

いつもなら会う前からこんな事は言わない。思うところがあっても基本的には紳士的に振る舞い相手に安心感を与えるのが鉄則だと思っている。
怖い男だと思われたら会う事を躊躇わせてしまうからだ。

だからこれは賭けだった。もしナチュラルにこういった発言をしているなら距離を置かれてしまう可能性だってあった。

けれど俺は賭けに勝ったのだ。

“ありがとうございます。サディストっぽさが滲み出ていてよかったです”

俺の返事は女の的を得たようだった。言ってみれば俺はS男としてこの女の信頼を勝ち得たのだ。

これをきっかけに女とは具体的な話が出来た。

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